ある日、六本木のとあるクラブで、美人な、日本人の、知らないギャルに話しかけられたのです。
大音響のナイトクラブでの出来事ですから壁際の暗がりで肩に手を置いて耳元で「w r u from?」なんつって英語で(パルプ・フィクションのユマ・サーマンでご再生ください)。ナンパだ!逆ナンだ!きゃー!
で、僕は答えたわけですよ「笹塚から来ました」とか、日本語で。
「sasazucca? それどこ?」とギャル。
「京王線の笹塚。新宿から1駅。京王新線だと3駅。急行は止まるけど特急は止まらない。知らない?」と僕。
「あー、そういうことじゃなくてー、訊きたいのは what country なんだけどー、ていうか日本語すごい上手だね、日本に住んで長いの?」
「30年以上住んでいます」
「え?」
「え?」
「日本人?」とギャル。
「日本人」と僕。
そこでその美人なギャルは「やべー、こいつ偽物だわ」みたいに目をグルンと回して、肩をすくめて、クルッと回れ右して立ち去るわけですよ、無言で。
壁際でビール片手に独り佇む僕。
なんだこれ。僕は何も悪く無いのに、僕が話しかけたわけでもないのに、若干の個人情報を開示しただけなのに、僕が騙したみたいになってんの。ファッキンビッチ!